オゾンの危険性と濃度について
2020/11/02
オゾンに限らず、生物が生きていくのに必須の、酸素(O2)もその濃度によっては有害な物になります。
酸素中毒などの人体に有害な症状もありますが、
大気中の酸素分圧が0.21 barであるのに対し、酸素中毒を起こす下限は0.3 barだそうです。
つまり、大気中では酸素中毒の毒性がなくても圧力が上がると毒性が出てきます。
圧力 = 濃度 と考えても良いでしょう。
酸素濃度が高いと、毒性が出てきて、酸素中毒などになる危険性があるわけです。
これ以外にも酸素は酸化作用があり、これにしても大気圧では気にしていないだけで少しは毒性があるわけです。
これは酸素に限らず、殆どの物質が濃度が高いと生物には有害になるということで、
酸素原子が3つ繋がったオゾンも例外ではありません。
オゾン濃度の安全基準について
低濃度のオゾンは人体に有益(森林浴などもオゾンが影響しています)ですが、濃度が高くなると人体にも影響が出てきます。
濃度の高いオゾンガスを直接吸い込むと、その量によっては死亡事故に繋がることがあります。
よって、濃度管理が重要になるわけですが、 日本産業衛生学会が勧告している作業環境の許容濃度は
0.1ppm となっています。
作業環境下における有人時には最高0.1ppmを越えないこと、また使用にあたっては、ときどき換気をして濃度をさげるなどを考慮する必要がありますが、濃度0.1ppmを越えないことが、安全に使用する基準だとご理解ください。
ご家庭や職場で使用するには?
様々な最近や、ウィルスなどにオゾン除菌機が効果的というニュースなどが出るようになってきて、
コロナ渦の中、除菌に期待されているオゾン発生器ですが、その使用には以下のポイントを押さえる必要があります。
- オゾン濃度が、0.1ppm以下になっているか?
- 人体や生物が吹き出し口に接近した場合に、オゾンガス放出を停止する機能があるか?
- 長期使用のためにはランニングコストが安価な方が良い
それぞれ詳しく説明していきます。
オゾン濃度が、0.1ppm以下になっているか?
オゾン発生器、オゾン除菌機などと呼ばれる装置が増えてきていますが、もっとも重要な点は濃度コントロールです。
家庭用と謳われるモノの中には、
- オゾンガス濃度が濃すぎるモノ
- オゾンガス濃度が薄くて効果が期待できないモノ
があります。
濃すぎるモノは、危険ですから、使用方法をよく考え、安全な使用に気を付けなければなりません。
例えば、こまめに換気をする、などです。
また睡眠時は稼働させないなどの配慮も必要になり、使い勝手がよろしくありません。
しかし、なぜ、オゾンガス発生濃度の高いモノがあるのか? と言いますと、
これは、無人環境下で濃いオゾンガスにより一気に、殺菌、除菌をしてしまうという業務用のオゾンガス発生器が
もともとあったことによるのです。
濃いオゾンガスで一気に除菌することで短時間で、除菌作業が終えられます。
そのため、室内で発生器のスイッチを入れてからは人は退出し、タイマーでガスを発生させて、
短時間で一気に室内の除菌や消臭をしてしまう、という使われ方をしてきたのです。
なんでも、コロナで有名になったあのツアー旅客船の除菌には、高濃度のオゾンガス発生器が使用されたそうです。
もちろん、人が居ない状態にして一気に除菌、殺菌処理がされたということです。
ホテルやレストランの厨房などでも、夜間等の人が居ない時間帯に、高濃度のオゾンガスで
殺菌、除菌を行う装置が導入されていたりもします。
各種ウィルス、細菌などの除菌、殺菌に効果的なため、無人状態にして使用されるのが、高濃度のオゾンガスを発生
させるオゾン発生器です。
しかしこれには、デメリットがあります。
人が居る状態では殺菌する事が出来ないため、夜間の殺菌処理後は除菌された場所でも、
人が立ち入ることで、ウィルスや細菌等が持ち込まれてしまい、それは残り続け、
他者への感染などを防ぐことが出来ないのです。
夜間になって無人になってから室内の除菌などができても、有人環境で殺菌出来ないのでは、
感染対策として不安だと言えます。
また、オゾン濃度が低い場合も、殺菌力という点では、あまり期待できません。
オゾンそのものに殺菌力がありますので、低濃度でも長い時間を掛ければ除菌、殺菌は可能ですが、
それが例えば24時間以上かかるなどでは、次々に室内に持ち込まれる細菌や、ウィルスに有効だとは
言えないわけです。
よって、濃すぎる濃度のオゾン発生器も、薄い濃度のオゾン発生器も、気軽に使える殺菌機、除菌機
という点ではあまり有効なモノだとは言えないのです。
重要なのは、適切なオゾン濃度です。
安全基準からみて、また殺菌力が期待できるという点からみて、重要なのは、
オゾンガスの室内濃度を、0.1ppm以下に安定的におさえることとなります。
0.1ppm以下に抑えられるなら、有人環境下で連続使用が可能になります。
(オゾン臭が気になる場合は、時々換気をする必要があります)
また、室内の広さに合わせて、排出量を調整できると、なお安心ですし、使い勝手が良いでしょう。
有人環境下で連続使用が出来れば、人がウィルスや細菌を持ち込んでも、それらを除菌、殺菌して
感染対策として有効となります。
常に人がいる場所が、殺菌、除菌されて続けているならば、安心できます。
次に、こちらで 人体や生物が吹き出し口に接近した場合に、オゾンガス放出を停止する機能があるか?
について解説をします。